概要

紫舟が情熱と意気込みをそそいで挑む本展では、全ての作品を新作で臨み、書の従来の観念を超越する表現に挑戦している。

紫舟の筆から生まれる文字は、形や言葉の意味を超越し、墨蹟はただの黒ではなく意志がぶつかりあった痕跡として現れる。これまで「余白の美」とされてきた背景の空間は、西洋の古典絵画の技法によって再構築され、もはや何も書かれていない「無」ではなく、「余韻」となった。

この余韻をたたえる堅牢な背景と、紫舟の多様な筆致の競作は、無限の可能性をひめた異界の断片。異文化の素材同士の邂逅と焼成というプロセスを経て起こる化学変化が、新境地を拓いている。

紫舟は制作において、決してすぐに筆をとり書き始めることはしない。筆を持てば「それなり」に書けるが、それは技術に頼った“小手先”の作品にすぎない。形が整っていても、そこに宿る力が弱ければ、人の目を引き付けることも心を動かすこともできない。「書かれた言葉の意味の恩恵が作品からあふれ出し、その人の人生を導いていく」力のある作品を生み出すため、紫舟は日々、律した生活とルーティンを今日も当たり前のようにつづけている。

筆一本で感動を与える。そのために、制作前ルーティンには一番難しいとされる「左払い」を2,000回繰り返す。そうして生まれる圧倒的な集中力は、作品に強い生命力を与え、誰もみたことがない表現を創り出す。

会期：2025年9月18日（木）～23日（火・祝）　※20日に紫舟在廊
午前10時～午後7時　※最終日は午後5時閉場
会場：守口店8階 大催事場