紫舟 SISYU

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新潮社『芸術新潮 2020年4月号』

新潮社『芸術新潮 2020年4月号』

『芸術新潮』4月号に、ラスベガスのMGMリゾートでの滞在制作について掲載いただきました。
12月から2か月間、制作過程すらもエンターテインメントとなり、制作風景をすべて公開し、現地の方に日本画や書を紹介し続けました。
眠らない愉楽の街で、描かなければと思ったものは、祈り。
MGM様に寄贈してきた作品も、ご紹介しています。








ラスベガスをつつむ刺激に紫舟が放った華やかな祈り


米ラスベガスの最高級リゾートホテル「ベラージオ」の一角にある、ガラス張りのアーティスト・スタジオ。その部屋の壁には、いままさに完成を迎えようとする《ノック・ガラウェイ》が立て掛けられていた。

縦横2メートルを超える白いカンヴァスに描かれているのは、極彩色の翼を大きく広げた「火の鳥」。紫舟は、両手に持った細筆を繊細な手つきで動かし、火の鳥の赤く燃えるような瞳に、鮮やかな色の絵の具を塗り重ねていく。時折スタッフに指示を出しながらも、その視線は一瞬たりともカンヴァスから離れることはない。ガラス張りの向こうでは、何人もの通行人がかわるがわる足をとめ、制作の様子を興味深そうに見つめていた――。

新潮社『芸術新潮 2020年4月号』